PostgreSQL のデフォルト timestamp/time 精度を 6 として報告
PostgreSQL が内部的に持つマイクロ秒精度(typmod が -1 の場合)を、Active Record の型メタデータでも 6 桁として表現するように変更しました。これにより、Rails が取得するカラム情報と実際に DB が永続化するデータの精度が一致し、型キャストの挙動が一貫します。
背景
PostgreSQL では timestamp や time カラムを型修飾子なしで作成すると、内部的にはマイクロ秒(6 桁)で保存されますが、従来の Active Record メタデータは precision を nil として扱っていました。その結果、Rails が生成する SQL と DB が保持する実際の精度に差異が生じ、型キャスト時に余計な丸めが発生していました。[#57845] ではこの不整合を解消する目的が示されています。
この不一致は、schema.rb の出力やマイグレーション生成時にも影響し、PostgreSQL 固有のデフォルト動作を正しく表現できないという設計上の課題となっていました。そこで、PostgreSQL の typmod 値を直接利用し、precision が未指定の場合は 6 を返すロジックが導入されました。
技術的な変更
register_class_with_precision メソッド が PostgreSQLAdapter に追加され、型登録時に typmod (fmod) を受け取り、-1 の場合は 6、そうでなければ typmod の値をそのまま precision として設定します。
def register_class_with_precision(mapping, key, klass, **kwargs) # :nodoc:
mapping.register_type(key) do |_, fmod, _sql_type|
precision = fmod == -1 ? 6 : fmod
klass.new(precision: precision, **kwargs).freeze
end
end
このメソッドは initialize_type_map 内で time, timetz, timestamp, timestamptz の各型に対して呼び出され、precision が常に具体的な整数になるよう統一しています。
self.class.register_class_with_precision m, "time", Type::Time, timezone: @default_timezone
self.class.register_class_with_precision m, "timetz", Type::Time, timezone: @default_timezone
self.class.register_class_with_precision m, "timestamp", OID::Timestamp, timezone: @default_timezone
self.class.register_class_with_precision m, "timestamptz", OID::TimestampWithTimeZone
テストスイートでは bare_timestamp や bare_time などのカラムが precision 6 と報告されること、さらに型キャスト時にナノ秒がマイクロ秒単位に切り捨てられることが検証されています。これにより、Active Record が DB から取得した値と永続化時の精度が完全に一致します。
設計判断
既存の型登録ロジックを拡張し、precision を明示的に扱う方針が採用されました。register_class_with_precision は既存の register_type 呼び出しに最小限の差分で追加でき、後方互換性を保ちながら PostgreSQL 固有の挙動を反映しています。
この実装は PostgreSQL 専用 であり、他のアダプター(MySQL、SQLite 等)には影響を与えません。migration/compatibility_test.rb では PostgreSQL の場合に暗黙的なデフォルト精度が 6 になることを明示的にテストし、他の DB では従来通り precision: nil が使用されることを保証しています。
また、schema_dumper_test.rb と date_time_precision_test.rb でも precision: 6 が PostgreSQL のスキーマダンプに正しく出力されるよう調整され、Rails が生成するスキーマ定義と実際の DB 動作が同一になるよう設計されています。
まとめ
この PR は PostgreSQL のデフォルト timestamp/time 精度(6 桁)を Active Record のメタデータに反映させ、型キャストとスキーマダンプの一貫性を確保しました。register_class_with_precision による小規模な拡張で、既存コードへの影術的影響を抑えつつ、データ永続化の正確性を向上させています。