Claude Code 2.1.84 リリース — PowerShell対応・MCP改善・多数のバグ修正
Claude Code 2.1.84では、Windows向けPowerShellツールのプレビュー追加を筆頭に、MCP(Model Context Protocol)の安定性向上、環境変数によるモデル設定のカスタマイズ、そして30件以上のバグ修正と改善が盛り込まれました。
背景
Claude Code 2.1.83では managed-settings.d/ によるポリシー分割管理が導入されましたが、2.1.84はそれに続くリリースとして、Windows環境への対応拡大・MCP周辺の堅牢性強化・ユーザー体験の細部改善に重点を置いています。CHANGELOG.mdに43行の追記が行われ、新機能・修正・改善の3カテゴリにわたる幅広い変更が記録されています。
技術的な変更
PowerShellツールとWindows対応
Windows環境向けに PowerShellツール がオプトイン形式のプレビューとして追加されました。詳細は公式ドキュメント(https://code.claude.ai/docs/en/tools-reference#powershell-tool)に記載されており、既存のBashツールとは独立して利用できます。これにより、Windowsネイティブのシェル操作をClaude Codeから直接実行できるようになります。また、Windowsドライブルート(C:\、C:\Windows 等)の危険な削除操作に対する検出精度も向上しています。
環境変数によるモデル設定のカスタマイズ
サードパーティプロバイダー(Bedrock・Vertex・Foundry)向けに、ピン留めされたデフォルトモデルの挙動を上書きする環境変数群が追加されました。
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ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_SUPPORTS: effortおよびthinking機能の検出結果を上書きする -
ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_NAME:/modelピッカーに表示されるモデル名を変更する -
ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_DESCRIPTION:/modelピッカーの説明文を変更する
これらは自社ホスト環境でClaude Codeを運用するチームが、プロバイダー固有のモデル識別子や能力差異を吸収するためのエスケープハッチとして機能します。
ストリーミングとセッション管理
CLAUDE_STREAM_IDLE_TIMEOUT_MS 環境変数が追加され、ストリーミングのアイドル監視閾値を設定できるようになりました(デフォルト90秒)。長時間かかるリクエストや低速ネットワーク環境での接続切断を防ぐ用途で活用できます。あわせて、75分以上経過して戻ってきたユーザーに /clear を促す アイドル復帰プロンプト が追加され、古いセッションでの不要なトークン再キャッシュを抑制します。
MCPの安定性向上
MCP関連では複数の改善が行われました。まず、ツール説明文とサーバー命令文が2KBに上限設定されました。これにより、OpenAPI自動生成サーバーがコンテキストを圧迫する問題が防止されます。次に、ローカル設定とclaude.aiコネクタの両方に定義されたMCPサーバーが重複排除されるようになり、ローカル設定が優先されます。さらに、サーバー再接続時のツール/リソースキャッシュリークが修正され、長時間稼働セッションでのメモリ使用も改善されています。
フック機能の拡張
新たに TaskCreated フックが追加され、TaskCreate によってタスクが生成されたタイミングでフック処理を実行できるようになりました。また、WorktreeCreate フックが type: "http" に対応し、レスポンスJSONの hookSpecificOutput.worktreePath を通じて作成されたWorktreeパスを返せるようになっています。これらにより、タスクおよびWorktree管理のライフサイクルをより細かく制御できます。
起動パフォーマンスの改善
起動時のパフォーマンスが複数の箇所で向上しています。setup() をスラッシュコマンドおよびエージェント読み込みと並列実行することで、インタラクティブ起動が 約30ms短縮されました。また、MCPサーバーを使用した claude "prompt" の起動では、すべてのサーバー接続を待たずにREPLが即座にレンダリングされるようになりました。Scalar/GVFSによる部分クローンリポジトリでの大量BlobダウンロードをトリガーするバグもFixされ、そのような環境での起動遅延も解消されています。
UIとターミナルの改善
UI面では多数の修正が行われました。まず、トークン数の表示形式が変更され、100万以上のトークン数は 1512.6k ではなく 1.5m のように表示されるようになりました。ディープリンク(claude-cli://)は、ターミナル検出リストの先頭にあるものではなく、ユーザーが選択した優先ターミナルで開かれるようになっています。また、以下の入力系バグが修正されました:
- 音声プッシュツートーク時に文字がテキスト入力に漏れ込む問題
- フッターアイテムフォーカス中に上下矢印キーが無反応になる問題
- 複数行入力での
Ctrl+U(行頭まで削除)が行境界で機能しない問題 - デフォルトコードバインディングをnullで解除しても、コード待機モードが残る問題
- マウスイベントが検索入力に「mouse」というテキストとして挿入される問題
さらに、IMEインライン表示とスクリーンリーダー追従に対応するため、ネイティブターミナルカーソルがテキスト入力キャレットを追跡するよう修正されました。これによりCJK入力(日本語・中国語・韓国語)がインラインで正しく表示されます。
その他の変更
#123 形式のベアなIssue/PR参照は自動リンク化されなくなりました。リンクになるのは owner/repo#123 の形式のみです。また、現在の認証設定で利用できないスラッシュコマンド(/voice、/mobile、/chrome、/upgrade 等)は、グレーアウトではなく非表示になります。VSCode拡張では、使用率とリセット時刻を表示するレート制限警告バナーが追加されています。
設計判断
環境変数による機能制御の徹底が今回のリリースを通じて一貫して見られます。CLAUDE_STREAM_IDLE_TIMEOUT_MS や ANTHROPIC_DEFAULT_* 系の環境変数は、コード変更なしに動作を調整できるエスケープハッチとして設計されており、特にエンタープライズ・サードパーティプロバイダー環境での運用柔軟性を高めています。
MCPの2KBキャップは、外部生成ツール(OpenAPI等)が意図せずコンテキストを圧迫する問題への防御的な設計です。明示的な上限を設けることで、サーバー実装品質に依存せず安定したコンテキスト使用量を保証する判断といえます。
#123 の自動リンク無効化は、議論の多いUI変更です。CLIツールのコンソール出力やログ内でのissue参照が誤ってリンク化されるノイズを排除するため、リポジトリ修飾子なしの参照は通常テキストとして扱う方針に変更されました。
まとめ
2.1.84は、新機能追加・バグ修正・パフォーマンス改善が高密度に詰め込まれたリリースです。PowerShellツールによるWindows対応の拡大、MCPの防御的な設計強化、そしてIME/スクリーンリーダー対応の改善は、Claude Codeがより広い環境・ユーザー層を支える基盤整備として機能しています。